師匠がなにを考えて音楽を創っているのか、たにもとには判りかねますが、聴いてみた限りでのたにもとの感想などを書いてみます。チョットでも興味をお持ちの方、購入しようかとお考えの方のご購入の動機、ご参考になれば幸いです。発表したものに付属のテキストも参考にしています。あとは師匠から直接聞いた話も織り交ぜてあります。ホントはサンプル曲など載せてみたいところなんですが、師匠の許可受けていませんし、それにFC2ブログでの音楽の鳴らし方を知りませんので。無料版なので容量も限られていますしね。
それにしてもとっくに50過ぎだというのに創作意欲の全く衰えない人だ。見た目は30代にしか見えませんが。いい歳ぶっこいて腰まであるロンゲに大きな真っ黒のサングラス、それにハンチングとかかぶってゼンハイザーの高級ヘッドフォンとかアンタ一体ドコの芸能プロダクションのマネージャーなんですかと小1時間。ここ数年ずっと音楽にかかりっきりで、肝心の文章の方は全く手を付けてないご様子。独特の音楽なので、ぜひご一聴を。
1・嵐の夜 SET4
SET4というからにはSET1〜SET3もあるんでしょうが、コレが一番出来が良かったのでしょうか。
嵐を予感させる一種緊張感のある夕暮れから、激しい嵐の夜、そして嵐が去ったあとの靜かで清々しい夜明け、そんな情景を思い起こさせる曲です。構成が見事で、レベル高いと思います。「嵐」の部分のクライマックス、シンセデタラメ弾きが上手くカッコよく決まってます。多少音が歪んでいるのが残念ですが‥‥まだ録音に慣れていない様子です。たにもとは音楽創作は判りませんが、やはし色々難しいんでしょうね。
師匠がソフトシンセ1曲目、処女作を創ったのが2011年10月1日で、この曲が創られたのが2011年11月30日‥‥わずか2ヶ月でこのレベルにまで達するとは、たにもとには信じられません。ちなみにたにもとは師匠にお願いして処女作を聴かせて頂きましたが、それは「単にシンセが鳴っているだけ」のモノでありました。別にそれを恥じている様子は見られませんでしたが。
2・第三接続
タイトルの意味は不明ですが‥‥曲自体は一本調子のループをコード変化させて進行させていき、それにアドリブのリードを乗せていく形式です。なかなかカッコいい曲ですが、些か時代遅れなような気もします。ハッとさせる部分もあります。ただ、コード進行はちょっと普通じゃないような気も‥‥誰の影響なのかはたにもとには想像がつきますが。曲としてはよくまとまっていると思いますが、他の曲に比べるとややちんまりした印象が拭えません。それとなく創り込んでいる部分もあるように感じられますが、ハッキリどこだとは言えません。過渡期の曲ではないでしょうか。ちなみに、タイトルの意味を訊いたところ、「意味なんてない」と言われました。この曲に限らず、タイトルはすべて出来上がった曲に合うコトバを選んで「後付け」しただけだそうです。プロの作曲家の方に感想のお願いをしているそうですが、最初は「◯曲目」としか呼んでいなかったら、その方から「タイトルを付けて貰った方がありがたい」と言われたので付けるようにしたそうです。
3・錆びた花束
マシントラブルにより、それまでのシンセ環境をすべて失ったそうです。それまでループを作るのに使っていたソフトシンセが手に入らなかったため、この曲からステップシーケンサーを使い始めたとのこと。明らかに前2曲と曲調が異なります。ループが基本なのは変わりませんが、美しいフレーズが印象的です。Aパートのクラシックのようなループの旋律、Cパートの「錆びた」ループのフレーズに宇宙人と会話しているようなアドリブの音とフレーズ。構成も見事。たにもと的にはコレは名曲かと。タイトルは後付けだそうですが、曲にあったタイトルだと感じます。全般的にワケワカラン曲が殆どですが、この曲は普通の人が聴いても理解できると思われます。それまでのプリセットループを捨ててステップシーケンサーを使うようになったのは結果的にはとてもいいコトになったと思います。環境を失った怪我の功名ですね。
この曲が創られたのが2012年4月8日。ソフトシンセを始めて半年ちょっとしか経っていません。その進歩の速さにはもはやたにもとは驚くを通り越して呆れるしかありません。
4・バカが踊っている
コレは師匠ならではの曲かと。とことん調子っぱずれのフレーズがひたすらバカバカしくて笑えます。よくこんなくだらないアホなフレーズを思いつくものですな。アドリブによるリード演奏はなく、ひたすらシーケンサー操作のみで創った曲だそうです。小品ながらも光っております。出来ればもう少し打楽器に凝って欲しかったです。タイトルは、創ってみたら大バカヤロウな曲になっていたからだそうで、あとはドビュッシーの「雪が踊っている」をパロったと。添付のテキストに書かれている英題は「Snob fools are dancing」。ちなみにドビュッシーの方はと言うと「Snow flakes are dancing」です。師匠は寒いダジャレが大好きなのであります。たにもとも大好きですが。
5・曇天の疾走
すんげい長い曲ですが‥‥よくよく聴いてみると、ループのフレーズがどんどん変わっていくのが判ります。ですけども、たにもとの感想としては‥‥コレは失敗作なのでは。意図するところは判る気がしますが‥‥苦労したとは仰ってましたが、まぁこういうコトもあるでしょう。おそらくは師匠も、失敗作だと意識しながら敢えて収録したのだと思います。師匠は、そういうコトを当たり前のようにする人なのです。
曲としては、迫ってくる雨雲からクルマで必死で逃げているようなイメージです。クライマックスではタイヤのスリップするような音も聞こえます。雷らしい音もします。まあそういう曲なので、こう言うタイトルにしたのだと思いますが。結局、逃げられずに雨に降られてしまったようですね。
6・毛の長い多足的で巨大で真っ赤なピクルス
タイトルもワケワカランですが曲自体もワケワカランです。イントロからして不協和音の塊。メインパートはすごく長く、ループのフレーズはたにもとにはコードすら判らん不思議なフレーズです。アドリブによるリードも音楽的な美しさとは全く無縁。かなり不気味で幻想的な曲です。まぁ、言ってしまえば師匠のプログレ好きがモロに出た曲でありましょうか。なんか、得体の知れない怪物を表現したのだと思えば納得もできますが、タイトルは後付け。終わり方はちょっとドッキリさせますが、全く一般向けではありません。まぁ師匠は、宇宙電波のCDとか買い集めて、「火星より木星のほうが音楽的だ。この時々聞こえるのは雷かな?」なんてコト平気で言う感性の持ち主ですので、こういった曲も当たり前のうちに属するのかも知れません。
この曲からCUBASE5と言うDAWソフトを使い始めたそうですが、「割れモノである」とエラソーに言わんでください。
7・イヤな湿疹・かぶれ
またこーゆーアホなタイトルを‥‥ですが、曲を聴くとタイトルもなんとなく納得できるよーな‥‥聴く人によっては不愉快になるかもしれませんね。たにもと的には全く大丈夫なんですが。小品ですが、色々とテクニックを使っている様子です。コレでまだソフトシンセ始めて1年経っていないとは‥‥
最初の頃はまだかろうじて普通の音楽してましたが、慣れてくるに連れてどんどんイカレて行ってるよ〜な気が‥‥
8・トニー・コンラッド風てくの?
トニー・コンラッドやファウストなんて一般には殆ど知られていないのでは‥‥? ファウストって、そーゆー名前の日本のバンド? もあるみたいですが、それについてはよくは知りませんがソッチではありません。たにもとは師匠の影響でプログレに詳しくなってシマタので元ネタも判りますが、一般の人には何をやっているのか全く判らないのでは? ちなみに元ネタは「Tony Conrad with Faust_Outside the dream syndicate」です。
全く変化のないドラムをベースに、ずーっと同じ音ばかり鳴らし続けるチェロ。それに乗って囁くような奇妙な音。延々と続く悪夢のようなサウンドは、モロに聴く人を選びます。
以上、たにもとの個人的な感想でした。少しでもご参考になれば幸いです。ちなみに、「全く売れてませんよ」と言ったところ、「売るのが目的ではないからいいのだ。モノを創る、という事だけでクリエイターとしてのアイデンティティは成立するので問題はない」と‥‥たにもとはこの思想に強く影響されています。たにもとが時々エラソーにぶっこくセリフも、すべて師匠の受け売りです。たかだかエロ小説書きが何を思想とかエラソーにほざくか、とお思いかも知れませんが、少なくともたにもとは人様の下半身で自社ビルぶっ立てて自慢しまくった揚げ句に「私達は常に明日を見続けるクリエイター集団なのです」とかほざいたくせに出したのがあの臭作、なんて某エルフみたいな傲慢さは持ち合わせておりませんよ。たにもとの姿勢は自分で言うのもなんですが極めて謙虚なモノです。エルフも落ちぶれたなー。他のかつての大手メーカーも悉く。健在なのはアリスソフトとウソつきソフトくらいなのでは?
話逸れましたすんまそん。確かに師匠のは一般受けしない音楽ではありますが、たにもととしては好みであります。昔のタンジェリン・ドリームやクラウス・シュルツなどがお好きな方にはピッタシオススメ!
‥‥と言うか「パクってんじゃね〜の?」とか言われそうな気も‥‥ですが、「創作は摸倣から」というコトバもありますし、最近は初期の頃のように乱発するのはやめてじっくり創り込むようになって来たようで、タンジェリンやシュルツ臭さもほとんどなくなり独自の音楽になっている様子です。ホントに多才な人だ。
まぁ、4時間以上あってお値段税抜き1500円はお買い得かと思われますがいかがでしょうか。
いい加減アレから新曲も増えたので、ヘンな音楽2も出そうか、なんて仰ってますが、どーなんでしょーね。この文章がきっかけになって少しでも売れると嬉しい限りなのですが。